52ヘルツのクジラたち

著者:町田 そのこ  出版社:中央公論新社  発売日:2020/4/18  ページ数;260ページ

 主人公の貴瑚(キコ)は東京から大分にある祖母の住んでいた元家に移住する。そこで、誰にも知られずに第3の人生を送るために。

 住み始めてから、キコは言葉を話せない少年と出会う。その少年の体は痣だらけで、虐待を受けていることを悟る。どうにかして、その少年を助けるため奔走する。そんな中、同級生の美晴(みはる)が訪ねてくる。

 所々、キコの過去が回想される。キコ自身も幼いころ親から虐待を受けており、一時は自殺を考える。そんな中、キコの様子がおかしいことに気づいた同級生の美晴は同僚のアンさんと一緒に元気づけ支えていくうちに、キコに笑みや元気が戻ってくる。キコが社会復帰し、彼氏もできたころ、彼氏を紹介するため居酒屋での飲み会が開催される。しかし、居酒屋でみんなが親しくなると思っていたキコだが、キコの彼氏をあまりよく思わないアンさんと衝突が起きる。それから、数か月後にアンさんが自殺したことを知り、彼氏との仲も悪くなる。彼氏がアンさんを自殺まで追い込んだことに腹を立てたキコは包丁で彼氏を刺そうと試みるも、包丁は自分の腹部に刺さってしまう。という回想から大分までの以上に至る。

 キコ、少年、美晴の3人で行動し、少年を助けるため支え合い、見捨てず、どれが最善の策か考えていく感動ストーリーの1冊。

 ちなみに、52ヘルツのクジラたちと題名で書いてあるが、クジラの会話するヘルツは10~30程度である。50ヘルツの会話となると、他のクジラたちには感知されず、会話をすることができないらしい。