ツミデミック

著者:一穂 ミチ  出版社:光文社  発売日:2023/11/22  ページ数:276ページ

 本書は6つの短編で構成されている。

 舞台はコロナであろうウイルス(コロナの名前は出ない)が蔓延している時代の話である。そこでは、コロナで外出が制限され、就職活動ができずにいる者。自分の顔に自信がなく、コロナ中はマスクのおかげで過ごせた者。自粛ムードの中、飲食店で騒ぎ、スクープになる者。医療従事者でウイルスに立ち向かうも、周りから感染者扱いされる者。

 ウイルスによって変化した環境や社会、人々を題材に語られている。

 実際にコロナウイルスによって引き起こされた現実と本書とを結びつけて読むうちに、よりリアルに引き込まれていく1冊。私自身、マスクや鎮痛薬の在庫切れが、当時不安の一因となっていたことを思い出す。そんな細かい日常の内容も、本書には書かれている。